社会福祉学への展望

芝野 松次郎・小西 加保留 編著

本書は、関西学院大学人間福祉学部社会福祉学科の教員たちによる最新研究テーマを結集させ、現在の社会福祉やソーシャルワークと関連づけながら今後の「社会福祉学」の展望を探る。

ISBN978-4-7501-0376-1 C3036
A5判 304頁 定価 2,940円(本体2,800円)




I.思想と視点
 第1章 福祉という考え方  (杉野 昭博)
  第1節 福祉は偽善か? ―行為としての福祉:ソーシャルワーク―
  第2節 福祉は欺瞞か? ―制度としての福祉:ソーシャルポリシー―
  第3節 社会福祉学の課題

 第2章 関西学院における福祉の系譜
     ―戦前を中心にした素描―  (室田 保夫)
  序 論
  第1節 関西学院をめぐって ―その創設とスクールモットー―
  第2節 高等学部社会科の設置 ―小山東助のキリスト教と社会改良―
  第3節 大正デモクラシー ―河上丈太郎の思想とその影響―
  第4節 昭和初期 ―大阪暁明館・関学セツルメント―
  第5節 日本ライトハウスの創設者岩橋武夫をめぐって
  第6節 視覚障害者福祉への道 ―熊谷鉄太郎と大村善永,そして本間一夫―
  第7節 中島重と「社会的基督教」運動,そして竹内愛二
  結びにかえて ―カール・秋谷一郎をめぐって―

 第3章 ジェンダー公平な福祉国家に向けて
     ―“ケア”労働の脱ジェンダー化のためにN.フレイザーのモデルに着目して―  (今井 小の実)
  第1節 イギリス,アメリカの福祉国家揺籃期
  第2節 日本の福祉国家揺籃期
  第3節 ジェンダー公平な福祉国家政策をめざして ―N.フレイザーの理論から―

II.理論的枠組み
 第4章 東日本大震災と臨床ソーシャルワーク
     ―新たなトラウマ・ケアの担い手となるために―  (池埜 聡)
  第1節 3.11.
  第2節 脳科学からみた外傷性ストレスの影響
  第3節 Trauma Centerの革新:ボトムアップ・ケア
  第4節 臨床ソーシャルワークへの示唆

 第5章 「アドボカシー」概念の再考
     ―HIV/AIDSソーシャルワークを通して―  (小西 加保留)
  第1節 HIV/AIDSソーシャルワークにおける「差別」「排除」の実態と構図
  第2節 「アドボカシー」に関連する用語の検討
  第3節 「アドボカシー」概念の再考

 第6章 クレオール化概念に基づく「障害者―ソーシャルワーカー関係」の考察  (松岡 克尚)
  第1節 二者関係の類型とパワーのインバランス
  第2節 坪上理論に見る二者関係について ―「循環的関係」―
  第3節 「循環的関係」と「障害者―健常者」図式との乖離
  第4節 クレオール化の側面から見た二者関係

III.メゾ・マクロの視点と方法
 第7章 高齢者保健福祉専門職のネットワーク構築・活用能力の評価に関する実証的研究
     ―介護支援専門員のネットワーク構築・活用能力評価の尺度開発の試み―  (石川 久展)
  第1節 本章の目的
  第2節 方  法
  第3節 結  果
  第4節 考  察

 第8章 少子高齢化社会と高齢者福祉
     ―介護を支える人的資源の研究―  (大和 三重)
  第1節 少子高齢化社会の影響
  第2節 介護を支える人的資源
  第3節 今後の課題
 
 第9章 プロダクティブ・エイジング
     ―高齢者ボランティアイズムと政策展望―  陳 礼美)
  第1節 団塊の世代の高齢化で到来する日本の超高齢社会
  第2節 高齢者の社会参加への機会を作る必要性
  第3節 緊急課題解決策としてのボランティア活動
  第4節 プロダクティブ・エイジング
  第5節 PA概念の枠組み
  第6節 日本のボランティアと「政策的特性」
  第7節 日本のボランティアと「組織能力の特性」

 第10章 福祉社会開発における内発的発展論パラダイムの研究
    ―地域福祉計画の活用による社会福祉への開発的視点の本質的導入を目指して―  (高杉 公人)
  第1節 福祉社会開発とそれを取り巻く環境
  第2節 福祉社会開発における内発的発展
  第3節 福祉社会開発における内発的発展 ―地域福祉計画の果たすべき役割―

 第11章 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)第7条に基づく虐待通告に係る守秘について  (前橋 信和)
  第1節 子ども虐待の現状
  第2節 子ども虐待対応の流れ
  第3節 要保護児童通告と通告者に関する守秘
  第4節 児童虐待防止法による通告の守秘に関する趣旨
  第5節 今後の課題

 第12章 高齢者心筋梗塞診療をとりまく諸課題  (佐藤 洋)
  第1節 高齢者疾患の医学的特質
  第2節 高齢者心筋梗塞の特徴
  第3節 診断治療上の問題点
 
IV.ソーシャルワーク教育と研究
 第13章 「関学実習」の歩みと課題  (川島 惠美)
  第1節 関西学院大学におけるソーシャルワーク教育と実習の歩み
  第2節 「関学実習」の現状と課題
 
 第14章 「親になる世代」への大学生への人間福祉的教育を考える
      ―子育ての現状理解に向けての実践的教育プログラムの試みから―   (中島 尚美)
  第1節 B.D.P.プログラム導入の意義
  第2節 実習事前学習におけるB.D.P.プログラムの位置づけ
  第3節 B.D.P.の実際

 第15章 ソーシャルワークにおける開発的研究と実践のイノベーション
      ―子育て支援総合コーディネート実践モデルの開発を例として―  (芝野松次郎)
   第1節 実践理論と実践モデル
  第2節 実践モデルの開発手続き
  第3節 子育て支援総合コーディネートのための実践モデル開発
 
 第16章 参与観察を用いた研究における研究者の志向性に関する一考察
      ―研究経験をもとに考える―  (安田 美予子)
  第1節 序  論
  第2節 重度身体障害者の自立生活研究の概要
  第3節 何か腑に落ちない ―zでのフィールドワーク―
  第4節 見たかった世界を体験する ―z通所者による当事者活動の参与観察―
  第5節 考  察
  第6節 まとめ